『千姫絵巻』回想記vol.2
おかみのはなし。

当日制作スタッフとして、Cブレンドからは、
佐伯、宇高、木下、内田、そして、
屈強な(?)男子に囲まれ、紅一点で頑張ってくれていたのは岡 美なみである。
「紅一点で」がキィワードだった美なみは、何かと女優楽屋への用を頼まれ、
とくに終演後は、舞台まわりの私物の持ち主探しに、何度も楽屋を訪れていたわけだが、

ある、Cの舞台をご覧いただいたことのない出演者が、「あの子、どこの子?」
と言うので、うちの子です、と答えると、
ソレナゾをご覧いただいた出演者が、

「柴田くんの奥さんだよね♪」

と言ったもんだから、その人がびっくりして、

「ええええええ!柴田くん結婚してるの?!」

ということになってしまった。で、
「ちがうちがうちがう!役の話!」
「なんか仏像買っちゃうんだよね!なんだっけ?3体セットの」

と、みんながフォローを入れている最中に、また現れ、

「アスラです。」

と言って去っていった。

おかみ、ツワモノ。
『千姫絵巻』の舞台監督をしてくださった、近藤さんの話をします。

近藤さんは、初めて稽古場にみえたとき、すごく怖い人に見えた。
メガネの奥の目が鋭くて、あまりまばたきをしなくて、
サリーちゃんのパパみたいなヘアスタイルに、「鎌〇(わ)ぬ」の手ぬぐいを巻いていた。
かっこいい。かっこいいけど怖い。
それが、バレンタイン明けに坊主になっていたので、
若手女優陣で恐る恐る「失恋ですか?」と聞いたら、「ちがうよ」と失笑された。
立ち位置や、出のタイミングを間違えると、「違いますよ〜!」って言われるし、
芝居見ながらまばたきしないし、ときどき首かしげてるし、怖い!

と、思っていたのだが、
小屋入り前後、黙々とてきぱきと仕事をする姿、現場を仕切る姿が、ちょうかっこいいのである。
檄をとばしながら、黒の長半纏をひるがえし、雪駄で颯爽と現場を歩き回る姿が、
怖さも含め、ちょうかっこいいのである。

さらに、ゲネ、本番では、舞台転換だけでなく、役者へのきめ細かな全力のサポートが、
ありがたすぎて涙がでそうだった。
暗い中、はけてくる役者の足元を、懐中電灯で的確に照らし、
衣装換えがギリギリの役者を誘導して走り、
見当たらない小道具を探しに走り・・・。

実は、あいはら、昼の回で、袖で意識を失いかけた。
相当の長ゼリでも、飛ぶことはおろか間違いもしなかった大学時代からブランク6年。
もしかして、長ゼリが、人生初ぶっ飛びを起こすんじゃないか、という、極度の緊張の中、
鬘で頭を締められ、衣装で体を締められ、照明でのぼせ、水分が不足したところの中盤、
尼僧姿への衣装換えは、鬘をとって、衣装も全着付け換えである。
体が一気にゆるみ、また締め付けられる。そして、あの頭巾はいっさい風を通さない。
それで速換えの後、下手から上手への舞台裏8間ダッシュ・・・の挙句、
上手で出を待っていたら、激しい眩暈と吐き気で、立っていられなくなった。
やばい・・・出なきゃ・・・吐く・・・あ、意識が・・・

「すいません、きもちわるい・・・」

と言ったら近藤さんが、すかさず用意してあったバケツを差し出してくれる。
「だいじょうぶです、吐かないです・・・けど・・・水・・・」
と言ったら、信じられない速さでどこからともなく水を持ってきてくれる。
はけたら袖で、冷たい水にストローをさして用意してくれていた。
夜の回では、背中に貼る「ひえぴた」を用意していただいていて、
袖では水はもちろん、着替えが終わって出るまでの間ずっと、
頭巾をめくって首すじを扇いでいてくださった。

他の役者たちも、何かと急を要する事態でお世話になり、
あちこちで、近藤さんが信じられない速さで動くのが目撃されており、
私たち役者はそれを、感謝と尊敬の念を込めて「近藤ダッシュ」と呼んだ。
かっこいい。
舞台監督、かくあるべき。

近藤さんには、本当にお世話になりました。
ありがとうございました。

あいはらは、今度、劇団ぎぶあっぷでほとんど名ばかりの舞監をやるわけだが、
近藤さんみたいに、かっこいい舞監になりたい。
とりあえず手始めに、頭に手ぬぐいを巻いてみようかと思う。
『千姫絵巻』の打ち上げは、桑名市民会館併設の喫茶けやきで行われました。
100227_211734.JPG
Cブレンド若手組、がんばったね。
皆さんにかわいがってもらってよかったね。
100227_212218.JPG
当日制作スタッフも、がんばってくれました。
てんやわんやの現場で、お疲れ様でした。
いっぱい食べていっぱいはしゃいでください。

演出を囲んで。
100227_212302.JPG
ご指導ありがとうございました。

宇高が、別の記事で、いい表情の女子の写真を載せてくれておりますが、
はやて役の子は、打ち上げの間、ほんとにずっと泣いていた。
苦労をいっぱいした分、感動は尽きないのでしょう。
キレイな泣き顔でした。
稽古場で流した涙とは違う涙を流し、
こともあろうに、柴田にすがりつく女子高生。柴田に春が!
(残念ながら、その瞬間の写真はおさえられず・・・)
オバチャン・オジチャン連中は、それをにやにや見ながら、
「つきあっちゃえよ〜」

そんなエピソードは、Cブレンド的にはネタですが、
柴田、今回ほんとに男を上げましたよね!
また、打ち上げでしきりに話題に上っていたのは、友ちゃんの上達ぶりです。
かっこよくなった!しなやかになった!そして、女中ウケた!
都築としみずは、想定していたより出番が多かったことで、
車校やら仕事やらと折り合いがつかず、稽古の参加が難しかったけれど、
最後の最後で追い上げて、やりきってくれました。
あいはらは、6年ぶりの役者で、しかも大役。
皆さんに支えられて、演じさせていただいたと、実感しています。
本当に、ありがとうございました。
100228_073559.JPG
お花、贈り物もたくさんいただきました。
ありがとうございました。

終演後にも写真を2枚ほど撮ったのですが、バタバタしてしまいましたので
昨日アップさせられませんでした…
というわけで、ここで!!

Image215.jpg
・楽屋付近にて若手組の笑顔の図。
 真ん中の方は、達成感からか、始終号泣しておりました。
 そういう涙は、見ていて清々しいです。


Image220.jpg
・館内のレストランにて打ち上げ。
 画質の悪さと手ぶれで混沌とした写真になっておりますが、無いよりはマシかなと…
 
 ―皆さん本当にお疲れ様でした!!


『千姫絵巻』無事終演いたしました。

ご来場いただいた皆さま、
ご指導いただいた方々、
スタッフの皆さん、
本当にありがとうございました。

この舞台で、参加した役者・スタッフCブレンズ、大変いい勉強をさせていただきました。
今後、新たなCブレンドを、どうぞよろしくお願いします。